マーケティングSaaSツールを比較、中小企業向け導入事例まとめ

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従業員100人以上の企業では、クラウドサービスを利用している割合がすでに8割を超えました。実際に利用している企業のうち、効果があったと答えた割合は約9割にのぼります。ところがマーケティング領域に限ると、導入したツールを持て余しているという声が絶えません。つまずく原因は製品選びよりも、自社のどの課題を埋めるためのツールなのかが曖昧なまま契約してしまう点にあるケースが少なくありません。

本記事では、マーケティングSaaSとは">SaaSでできることとできないこと、MA・CRMとは">CRM・SFAとは">SFAの守備範囲の違い、機能と料金を比較する5つのポイントを整理しました。あわせて公的機関が公開している中小企業の導入事例を3件紹介し、ツールと人材をどう組み合わせるかまで解説します。自社に合う1本を見極める材料として、ぜひ参考にしてください。

マーケティングSaaSでできること・できないこと

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マーケティングSaaSとは、マーケティング業務をクラウド経由で支援するソフトウェアの総称です。サーバーを自社で持たずに月額料金で使えるため、情報システム部門がない企業でも導入しやすい点が特徴といえます。ただし万能ではありません。まずは任せられる範囲と、任せられない範囲を切り分けておきましょう。

見込み顧客の獲得と育成を自動化する

もっとも代表的な機能が、見込み顧客の管理と育成です。Webサイトの訪問履歴や資料請求の記録をもとに、関心度の高い顧客を自動で抽出できます。

たとえば、料金ページを3回見た顧客にだけメールを送る、といった閲覧回数ベースの条件設定ができる製品もあります。ただし「30日以内に3回」のように期間と回数を組み合わせられるかは製品によって差があるため、比較検討の段階で実機での確認が必要です。手作業でリストを分けていた頃と比べれば、追いかけるべき相手は格段に見落としにくくなります。展示会やセミナーで集めた名刺が、そのまま眠ってしまう状況も避けられるでしょう。

顧客データを一元管理して属人化を防ぐ

2つ目は、顧客情報の一元管理です。担当者ごとにExcelやメールの中に散らばっていた情報を、1つの画面に集約できます。

属人化はマーケティングと営業の連携を止める大きな要因です。担当者が異動や退職をした途端、商談の経緯が誰にもわからなくなるという事態は珍しくありません。データが1か所にまとまっていれば、引き継ぎの負担も大きく下がります。

効果測定とレポートの工数を減らす

3つ目は、効果測定とレポート作成です。広告・メール・Webサイトの数値を自動で集計し、ダッシュボードで確認できます。

毎月の報告資料を手作業で作っている企業では、この工数削減だけで導入効果を感じられるはずです。加えて、同じ指標を全員が同じ画面で見られるようになると、施策の善し悪しをめぐる議論が感覚論になりにくくなります。

SaaSでは解決できない3つの領域

一方で、ツールを入れても解決しない領域があります。代表的なものは次の3つです。

• 戦略そのもの:誰に何を届けるかの設計は、ツールが決めてくれません

• コンテンツの中身:配信する記事やメールの質は、書き手の力量に依存します

• 運用する人と時間:設定・改善・分析を回す担当者がいなければ機能が眠ります

とくに3つ目は中小企業でつまずきやすい点です。導入を決める前に、誰がどれだけの時間を割けるのかを確認しておきましょう。

(参考:総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR202400_002.pdf)

代表的なマーケティングSaaSの種類|MA・CRM・SFAの違い

マーケティング領域のSaaSは種類が多く、名前だけでは違いがわかりにくいものです。とくに混同されやすいのがMA・CRM・SFAの3つでしょう。この3つは、顧客が購入に至るまでのどの段階を主戦場にするかが異なります。ただし製品レベルでは機能が重なる部分も多く、きれいに分かれているわけではありません。まずは典型的な役割分担を押さえておくと、自社に必要なツールを絞り込みやすくなります。

MA(マーケティングオートメーションとは">マーケティングオートメーション)が担う範囲

MAは、見込み顧客の獲得から育成、営業に引き渡すまでを担当します。Web行動の追跡、メールの自動配信、スコアリングによる有望顧客の抽出などが主な機能です。

向いているのは、リードとは">リードは集まっているのに商談化しないという課題を抱える企業といえます。一方、実名のリードがほとんど無い段階で「メールでの育成」を主目的に導入しても、配信する相手がいません。ただし製品によっては、まだ個人情報を登録していない匿名の訪問者にポップアップや広告でアプローチする機能を備えたものもあります。流入自体が乏しいのか、流入はあるがリード化していないのかを見極めてから選びましょう。

CRM(顧客関係管理)が担う範囲

CRMは、顧客情報を軸にした長期的な関係づくりを担当します。購入履歴、問い合わせ履歴、対応の記録を蓄積し、次のアプローチにつなげる仕組みです。受注後のフォローで語られることが多いものの、製品によっては見込み客の段階から一貫して管理でき、SFAとの境界は年々曖昧になっています。

リピート購入や継続契約が売上の柱になっている企業ほど効果が出ます。既存顧客へのフォローが担当者の記憶頼みになっているなら、優先度は高いでしょう。

SFA(営業支援)が担う範囲

SFAは、案件化してから受注までの営業プロセスを担当します。商談の進捗、確度、次のアクションを可視化し、案件の停滞を早期に見つけられるようにするツールです。

営業担当が数名でも、商談情報が個人のメモに閉じている状態なら導入価値があります。マーケティングが渡したリードがその後どうなったかを追えるようになる点も、見逃せない効果です。

メール配信・BI・CDPなどの周辺ツール

3つの主要カテゴリ以外にも、目的を絞った製品があります。

• メール配信ツール:メルマガ配信とは">メルマガ配信に特化。低価格で始めやすい

• BIツール:複数のデータを統合して可視化・分析する

• CDP:顧客データを統合し、他のツールへ配信する基盤

• Web接客・チャットボット:サイト訪問者への案内を自動化する

いきなり大きな仕組みを入れず、メール配信ツールから始めて必要に応じて広げる進め方も現実的です。

3つのツールの守備範囲を整理する

MA・CRM・SFAの違いを表にまとめると、次のようになります。

ツール 担当する段階 主な機能 導入を検討したい状況
MA リード獲得〜商談化前 Web行動追跡・メール自動配信・スコアリング リードはあるが商談につながらない
SFA 案件化〜受注 商談管理・進捗と確度の可視化・予実管理 商談情報が担当者個人に閉じている
CRM 受注後〜継続が中心 顧客情報の蓄積・購入履歴管理・フォロー設計 リピートや継続契約が売上の柱

近年は3つの機能を1つにまとめた製品も増えています。ただし機能が多いほど設定項目も増えるため、使う範囲を決めずに契約すると持て余しがちです。

機能・料金で比較する5つのポイント

候補が絞れたら、次は比較の段階に入ります。マーケティングSaaSは無料プランから月額数十万円まで価格帯が広く、機能表だけを並べても判断できません。ここでは中小企業が失敗しないために、発注前に確認しておきたい5つのポイントを順番に解説します。

ポイント1:顧客フェーズのどこを埋めたいかを決める

最初に決めるのは、自社の課題がどの段階にあるかです。リード不足なのか、商談化の停滞なのか、リピートの弱さなのかで、選ぶべきカテゴリが変わります。

「マーケティングを強化したい」という粒度のままでは、どの製品も良く見えてしまいます。直近3か月の数字を並べ、どこで顧客が離れているかを特定してからツールを探しましょう。この作業を飛ばすと、多機能な製品を選んで使わない機能に課金する結果になりがちです。

ポイント2:料金は初期費用と月額の総額で見る

料金比較では、月額だけを並べても実態がつかめません。確認すべきは次の3点です。

• 初期費用:導入設定やデータ移行に別途かかる場合がある

• 課金単位:ユーザー数(シート)課金か、連絡先の登録件数課金か、あるいはその両方か

• 最低契約期間:年間契約が前提の製品も多い

見落としやすいのが、シート数と登録件数の両方が同時に効く料金体系です。片方だけを見て試算すると、実額が想定を大きく超えることがあります。とくに登録件数による課金は運用が軌道に乗るほど費用が増えるため、1年後、2年後の想定件数で試算しておきましょう。

ポイント3:運用する人を確保できるか

機能や料金以上に重要なのが、運用体制です。中小企業のツール選定では、料金・機能・サポート体制と並んで、運用する人員を確保できるかどうかも判断軸に加えておきたいところです。

導入したものの設定が初期状態のまま止まっている、という状況は珍しくありません。誰が担当するのか、週にどれだけの時間を割くのか、どこまでの判断をその担当者に任せるのか。運用の進め方まで含めて、契約前に決めておきましょう。社内で確保できないなら、外部の専門人材に運用設計から任せる選択肢もあります。

ポイント4:既存ツール・基幹システムと連携できるか

4つ目は連携性です。会計システムや販売管理システムとつながらなければ、結局は二重入力が発生します。

確認したいのは、標準で用意されている連携先の一覧と、APIの有無です。連携できない場合にCSVでの取り込みが可能かどうかも聞いておきましょう。日々の入力作業が増えるツールは、どれだけ高機能でも現場で使われなくなります。

ポイント5:スモールスタートできるか

最後は、小さく始められるかどうかです。無料プランや最小構成のプランがあれば、実際の画面を触ってから判断できます。

比較検討の段階では、必ず自社のデータを一部入れて試してください。デモ画面では快適でも、自社の商材名や顧客区分を入れた途端に扱いにくくなる製品もあります。1部門・1施策から始め、成果を見ながら広げる進め方であれば、失敗したときの損失も限定できるはずです。

中小企業でのマーケティングSaaS導入事例

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ここでは、公的機関が公開している中小企業のIT活用事例から3件を紹介します。マーケティング専用のツールに限らず、顧客管理や営業支援を含む業務システムの事例です。従業員数の規模もさまざまです。大企業の大がかりな導入ではなく、自社に近い規模の事例から見ていくほうが、現実的な進め方をつかめます。

【教育・学習支援業/従業員2名】CRM導入で顧客フォローの取りこぼしを防ぐ

東京都渋谷区で健康づくり支援やアスリート支援を手がける株式会社ハイクラスは、業務委託とは">業務委託のトレーナーと連携しながら事業を拡大してきました。提携メンバーが増えるにつれ、資料共有やコミュニケーションの仕組みが追いつかなくなります。

同社が導入したのは、クラウドサービスとCRMツールです。プログラム提供の終了後に適切なタイミングでフォローしたいと考えながら、細かい管理ができずフォローしそびれる場面があったといいます。導入後はアンケートがオンラインフォームに切り替わり、集計作業が不要になりました。オンライン会議の予約が顧客側のカレンダーにも通知されるようになり、失念によるキャンセルも減っています。

注目したいのは、ツールの選定と導入を外部のIT専門家に支援してもらった点です。社内にITに詳しいメンバーがいない状態でも、外部の知見を借りることで導入までたどり着いています。

(参考:J-Net21「運動教室やアスリート支援に取り組むメンバーの環境整備 クラウドサービスとCRM導入で組織力向上【株式会社ハイクラス】」https://j-net21.smrj.go.jp/special/seisanseicase/20220708.html)

【小売業/従業員26名】営業支援システムで商談情報の属人化を解消

店舗用ハンガーの専門商社である株式会社チャナカンパニーは、アパレル企業を中心に店舗備品の企画・提案・販売を行っています。課題は、顧客情報と商談情報が特定の担当者に属人化し、ナレッジが共有されていなかったことでした。

導入したのは営業支援システムです。その結果、営業活動の可視化と効率化が進み、情報共有が促進されて組織としての営業力が向上しました。基幹システムとの連携により、業務の統合管理も可能になりました。

従業員26名という規模でも、情報が個人の中に閉じてしまうと組織の力は発揮されません。人数が少ない企業ほど、1人が抜けたときの影響は大きくなります。

(参考:中小企業基盤整備機構「ITツール活用事例 株式会社チャナカンパニー」https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/article/jirei-chana-company.pdf)

【物品賃貸業/従業員45名】顧客管理の一元化で残業を約10分の1に

貸衣装を中心に事業を展開する株式会社エヴァーズでは、衣装はシステムで管理する一方、付随するアイテムはExcelで別管理していました。データが分散しているため集計に手間がかかり、ミスも起きていたといいます。

そこで貸衣装管理ツールを導入し、顧客情報から接客、受注、スタイリング、請求までを一元管理できる状態にしました。結果として残業時間は導入前の約10分の1まで削減されています。働きやすさが伝わり、経験豊富な人材の再就職希望者が増えるという副次的な効果も生まれました。

(参考:中小企業基盤整備機構「株式会社エヴァーズ/IT導入補助金2021活用事例」https://it-case.smrj.go.jp/2021/evers/)

3つの事例に共通する成功要因

規模も業種も異なる3社ですが、共通点があります。

• 埋めたい穴が具体的だった:フォロー漏れ、属人化、二重管理と、課題が特定されていた

• 既存の業務フローに接続した:基幹システムとの連携や、請求までの一気通貫を設計している

• 導入を支える人がいた:社内の推進役、あるいは外部の専門家が関与している

いずれも高価な製品を選んだから成功したわけではありません。課題の特定と、運用に落とし込む力が結果を分けています。

まとめ:ツール導入と人材活用を組み合わせる方法

マーケティングSaaSは、自社の課題がどの段階にあるかを見極めてから選ぶと失敗が減ります。リード獲得ならMA、商談管理ならSFA、既存顧客との関係づくりならCRMというように、埋めたい穴に合わせて選択するのが基本です。料金は初期費用と課金単位を含めた総額で比較し、まずは小さく始めて成果を見ながら広げていきましょう。

ただし事例が示すとおり、成果を分けるのは製品の性能ではありません。設定・改善・分析を回す人がいるかどうかです。中小企業では専任者を置く余裕がない場合も多く、導入したまま活用しきれない状態に陥りがちといえます。ハイクラスの事例のように、外部の専門家に選定から支援してもらう進め方は現実的な解決策の1つです。

キャリーミーには、事業会社で実際に手を動かしてきた実務型のプロ人材が1万5千人登録しています。MAやCRMの運用経験を持つ人材を、週1日からの稼働で迎えることも可能です。契約開始まで費用は一切かかりませんので、どのツールが自社に合うのか、誰が運用すべきかという段階からお気軽にご相談ください。

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