SCS評価制度の費用は?対応に必要なコストと外注活用を解説

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SCS評価制度への対応を検討するなかで、最初に知りたいのは「結局いくらかかるのか」という点ではないでしょうか。ところが調べてみても明確な金額が出てこず、予算の見通しが立てられないまま判断を保留している企業は少なくありません。これには理由があります。サプライチェーン全体のセキュリティ対策を可視化するこの制度の費用は、自社の現在の対策状況と目指す段階、そしてどこまでを外部に任せるかによって大きく変わるうえ、制度側に支払う金額についても一般企業向けの情報はまだ公表の途中にあるためです。この記事では、SCS評価制度への対応で発生する費用を、制度に支払う費用と自社で負担する費用に分けて整理します。あわせて、見落とされやすい維持・更新のコストや、中小企業が使える公的な支援策、社内対応と外注のどちらが自社に合うかを判断するための考え方も解説します。

SCS評価制度の対応にかかる費用の全体像

費用を見積もるには、まず何にお金がかかるのかを分解して考える必要があります。SCS評価制度の費用は一つの項目ではなく、性質の異なる複数の支出で構成されます。ここでは、その全体像を整理します。

費用は「制度に支払う費用」と「自社で負担する費用」に分かれる

SCS評価制度への対応でかかる費用は、大きく2つに分けて考えると整理しやすくなります。1つは、申請や登録にともなって制度側に支払う費用です。もう1つは、セキュリティ対策そのものの実施、規程の整備、専門家への依頼など、自社が負担する費用です。多くの企業にとって金額が大きくなりやすいのは後者であり、しかもこちらは自社の現状によって変動します。予算を検討する際は、この2つを分けて積み上げることが出発点になります。

費用の種類 主な内容 金額の決まり方
制度に支払う費用 申請料や登録料 制度側が定める。一般企業向けの金額は公表の途中
対策にかかる費用 ITツールの導入、設定変更、機器の更新 自社の現状と不足している対策の範囲による
外部に依頼する費用 現状調査、規程整備、専門家による確認 依頼先との契約内容による
社内で負担する費用 担当者の稼働時間、社内教育 対応範囲と体制による

制度に支払う費用は一般企業向けの金額が公表途中

IPAは2026年9月18日に制度の料金設定を公開しましたが、あわせて募集が始まったのは評価機関、技術検証事業者、研修事業者という制度を担う側の事業者です。取得を目指す一般企業に向けた申請方法については、取得ガイドや要求事項の解説書とあわせて2026年10月頃の公開が予定されています。つまり、現時点で「制度への申請にいくらかかるか」を確定的に語れる段階ではありません。断定的な金額を提示してくる事業者がいた場合は、その根拠を確認したほうが安全です。

参考:独立行政法人情報処理推進機構「よくある質問」
https://www.ipa.go.jp/security/scs/faq.html

目指す段階によって費用の規模が変わる

費用を左右する最も大きな要因が、どの段階を目指すかです。制度では対策の水準が段階に分かれており、公式資料では星の数で示されます。★3は専門家による確認付きの自己評価で要求事項は26件、★4は文書確認・実地審査・技術検証をともなう第三者評価で要求事項は43件です。求められる項目数が増えるだけでなく、評価の方法そのものが変わるため、必要な工数も外部に依頼する範囲も大きく異なります。取引先からどちらを求められているかを確認しないまま見積もりを取っても、意味のある比較にはなりません。

自社の対応で発生する主なコスト

記事のイメージ画像

実際の支出の中心になるのは、自社側で発生するコストです。工程ごとに、どこにどれだけの負担がかかるのかを見ていきましょう。自社の状況によって金額が変わる理由も、ここを見ると理解しやすくなります。

現状調査とギャップ分析にかかるコスト

最初に必要になるのが、自社の対策が現在どこまで到達しているかを確認する工程です。資産管理の状況、アクセス権限の管理方法、ログの取得と保管、委託先との契約条項などを洗い出し、要求事項との差分を明らかにします。社内で実施すれば直接の支出は抑えられますが、担当者の稼働時間という形でコストは発生します。外部に依頼する場合は費用がかかる一方、要求事項の解釈を誤って後戻りするリスクを減らせます。ここでの判断の精度が、後工程の費用を左右します。

セキュリティ対策そのものにかかるコスト

差分が明らかになったら、不足している対策を実施します。ここが最も金額の幅が出る部分です。すでに基本的な対策が整っている企業であれば、設定の見直しや運用ルールの整備だけで満たせる項目も多くあります。一方、資産の把握やログの管理から着手が必要な企業では、ツールの導入や機器の更新が発生します。同じ段階を目指しても企業によって費用が大きく異なるのは、この出発点の違いによるものです。一律の相場を当てはめて考えないことが重要です。

規程の整備と体制づくりにかかる社内負荷

見落とされやすいのが、規程類の整備と運用体制をつくるための社内負荷です。文書を用意するだけでは評価の場面で機能せず、実際に運用され、記録が残っている状態にする必要があります。担当者への教育、運用ルールの周知、記録の保管方法の決定といった作業が発生します。これらは外部に丸ごと任せにくい領域であり、社内の稼働時間として確実にコストが積み上がります。予算を立てる際は、金銭的な支出だけでなく、担当者が割く時間も見込んでおきましょう。

工程 費用が大きくなりやすいケース 費用を抑えやすいケース
現状調査 管理台帳が整備されておらず一から洗い出す 資産や権限の一覧がすでにある
対策の実施 ツール導入や機器更新から着手が必要 設定変更と運用ルールの整備で満たせる
規程整備 文書がほとんどなく新規に作成する 既存の社内規程を改定して対応できる
専門家への依頼 工程全体を一括で委託する 判断が必要な範囲に絞って依頼する

見落としやすい維持・更新のコスト

初回の取得費用だけで予算を組むと、後になって想定外の支出が発生します。この制度は一度対応すれば終わりという性質のものではありません。継続的にかかる費用も含めて検討しておきましょう。

有効期間があるため更新のたびに費用が発生する

IPAが公表している詳細情報によると、専門家による確認付きの自己評価である★3の有効期間は1年、第三者評価である★4の有効期間は3年とされています。つまり、取得した状態を保つには、期間ごとに評価を受け直す必要があります。初回で整備した規程や運用が維持できていれば負担は軽くなりますが、費用が一度きりで終わるわけではありません。年間の固定的な支出として、どの程度を見込んでおくかを最初に決めておくと、稟議も通しやすくなります。

参考:独立行政法人情報処理推進機構「SCS評価制度の詳細情報」
https://www.ipa.go.jp/security/scs/details.html

運用を続けるための社内負荷も費用の一部

更新のたびに慌てて準備し直す状態になると、そのつど外部への依頼費用が膨らみます。逆に、日々の運用のなかで記録が自然に残る仕組みをつくっておけば、更新時の負担は大きく下がります。担当者が交代しても運用が続くよう、手順を文書化して引き継ぐ形にしておくことも、長期的なコストを抑える投資と考えられます。目先の取得費用を削ることだけを優先すると、かえって総額が増えることもあります。

中小企業向けの公的な支援策を活用する

費用負担を抑えたい中小企業にとって注目したいのが、IPAが実施している「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」の実証事業です。診断による対策状況の可視化と改善計画の策定、ITツールの導入やコンサルティング、そして取得申請の支援までを一括で受けられる内容で、採択された15の実証事業者のサービスに中小企業等が参加できます。IPAによると、この実証への参加は無償であり、実証事業者から参加に関する費用を請求することはないとされています。実証期間は2026年10月から2027年9月までの1年間が予定されています。参加要件や受付状況は事業者ごとに異なるため、詳細は各事業者に確認してください。

参考:独立行政法人情報処理推進機構「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)実証事業」
https://www.ipa.go.jp/security/sme/otasuke-scs.html

社内対応と外注のコストをどう比較するか

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費用の内訳が見えてきたら、次は自社でどこまで担い、どこから外部に任せるかという判断です。単純な金額の比較ではなく、社内に残る負荷と時間も含めて考える必要があります。

社内で人材を確保する場合の考え方

社内に専門人材を置ければ、継続的な運用や更新への対応はしやすくなります。ただし、セキュリティの実務経験を持つ人材は採用市場での需要が高く、中小企業が正社員として確保するには相応の人件費と採用期間が必要です。制度への対応は準備と評価の局面に業務が集中し、その後は維持管理が中心になるため、繁閑の波と固定費の性質が噛み合いにくいという問題もあります。既存の担当者が兼任で対応する場合も、本来の業務が滞るという形で見えにくいコストが発生します。

外注を活用する場合の考え方

外注であれば、必要な時期に必要な専門性を確保できます。一方で、工程全体をコンサルティング会社に一括で委託すると、自社にとって必要のない範囲まで含まれ、費用がふくらむことがあります。見積もりを比較する際は、金額の総額だけでなく、どの工程が含まれ、どこまで自社が担うのかという前提を揃えて確認しましょう。外部にすべてを任せた結果、契約終了後に社内で運用を続けられず、更新のたびに同じ費用が必要になるという事態も避けたいところです。

業務委託のプロ人材という中間の選択肢

採用と一括外注の中間にあるのが、業務委託で実務経験を持つプロ人材に依頼する方法です。支援してほしい範囲と稼働量を自社で決められるため、判断が必要な工程だけを任せ、手を動かす部分は社内で担うといった配分ができます。負荷が高い時期は関与を厚くし、落ち着いた後は稼働を減らす調整も可能です。自社の担当者が実務を担い、プロ人材が方針の提示とレビューを担当する形にすれば、費用を抑えながら社内にノウハウを残せます。

選択肢 費用の性質 向いているケース
正社員採用 固定費として継続的に発生 運用体制を長期的に内製したい
コンサルティング会社への一括委託 プロジェクト単位でまとまった費用 社内に着手できる人員がいない
業務委託のプロ人材 稼働量に応じた変動費 必要な範囲だけ専門知見を補いたい

まとめ:費用の内訳を把握して無理のない対応を進める

SCS評価制度への対応費用は、制度に支払う費用と自社で負担する費用に分けて考えると整理しやすくなります。金額の幅が大きくなるのは自社側の費用であり、現在の対策状況、目指す段階、どこまでを外部に任せるかによって変わるため、一律の相場を当てはめて判断することはできません。制度への申請方法や一般企業向けの情報は2026年10月頃に公開が予定されており、断定的な金額を提示する説明には根拠の確認が必要です。有効期間にともなう更新費用や日々の運用にかかる社内負荷まで含めて見込んでおくと、後から想定外の支出に悩まされずに済みます。一方で、こうした費用の切り分けを判断できるセキュリティの専門知識を持つ人材が社内にいない中小企業も多いのが実情です。キャリーミーでは、セキュリティ領域の実務経験を持つプロ人材と企業を、業務委託という形でマッチングしています。対応範囲ごとの進め方を整理したホワイトペーパーもご用意していますので、予算の検討にあわせてご活用ください。

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