
SCS評価制度のコンサルとは?専門家へ依頼するメリットと選び方
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SCS評価制度への対応を進めようとしたものの、社内に判断できる人材がおらず、外部のコンサルや専門家への相談を検討している企業が増えています。この制度は、取得を目指す段階によっては自社だけで完結させることが想定されておらず、外部の知見をどう確保するかが実務上の論点になります。一方で、制度の詳細な文書はまだ順次公表されている途中であり、支援を名乗る事業者の質にも差が出やすい状況です。この記事では、SCS評価制度のコンサルや専門家に依頼できる支援内容を工程ごとに整理したうえで、支援先を選ぶ際に確認しておきたいポイントを解説します。あわせて、コンサルティング会社に一括で委託する以外の方法として、業務委託でセキュリティ領域のプロ人材を活用する選択肢についても紹介します。
SCS評価制度でコンサルや専門家の支援が必要とされる理由
外部への相談を検討する前に、なぜ専門家の関与が前提になっているのかを理解しておく必要があります。単に社内の手が足りないという理由ではなく、制度の設計そのものに理由があります。ここでは、支援が求められる構造的な背景を整理します。
制度上、専門家の確認が必要な仕組みになっている
SCS評価制度では、求められる対策の水準が段階に分かれており、公式資料では星の数で示されます。このうち★3は「専門家による確認付きの自己評価」と位置づけられており、自社で評価した結果について、セキュリティ専門家が確認と助言を行う設計になっています。★4の第三者評価では、専門家が評価責任者を担います。つまり、どちらの段階を目指す場合でも、制度上の要件を満たした専門家が関与することが前提です。社内だけで手続きを完結させることは想定されていません。
セキュリティ専門家として認められる要件
IPAが公表している詳細情報によると、制度上のセキュリティ専門家になるには、指定された資格のいずれかを保有していることに加え、制度が定める研修を受講し、事務局に登録する必要があります。対象となる資格は、情報処理安全確保支援士、公認情報セキュリティ監査人、CISSP、CISA、CISM、ISO27001主任審査員です。単にセキュリティに詳しいというだけでは、制度上の専門家としては扱われません。支援先を検討する際は、この要件を基準に考えることが出発点になります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 力量の保持 | 情報処理安全確保支援士、公認情報セキュリティ監査人、CISSP、CISA、CISM、ISO27001主任審査員のいずれかを保有 |
| 研修の受講 | 制度が定める研修を受講する(研修事業者は2026年12月末頃より公表予定) |
| 事務局への登録 | 上記を満たしたうえでSCS評価制度の事務局に登録する |
参考:独立行政法人情報処理推進機構「SCS評価制度の詳細情報」
https://www.ipa.go.jp/security/scs/details.html
社内人材だけでは対応が完結しない
中小企業では、情報システム担当者が他業務と兼任しているケースや、専任者を置けていないケースが大半です。仮に社内に有資格者がいたとしても、研修の受講と登録を経なければ制度上の専門家としては扱われず、その研修の内容自体もこれから公表される段階にあります。自社で人材を育てる道筋が整うまでには時間がかかるため、当面は外部の知見を確保する前提で計画を立てるほうが現実的です。
SCS評価制度のコンサルに依頼できる支援内容
外部への依頼といっても、すべてを丸ごと任せる必要はありません。工程ごとに、自社で担える部分と外部の判断が必要な部分は異なります。ここでは、支援を受けられる主な内容を工程順に整理します。
現状把握とギャップ分析
最初の工程は、自社の対策が現在どこまで到達しているかの把握と、目指す段階の要求事項との差分の洗い出しです。資産管理の状況、アクセス権限の管理方法、ログの取得と保管、委託先との契約条項、インシデント発生時の連絡体制などを実態ベースで確認していきます。この工程では、要求事項の文言が自社のどの業務に対応するのかという解釈が必要になるため、経験のある専門家の判断が特に効きます。自社だけで進めると、対応済みと判断した項目が実は不十分だったという見落としが起こりやすい部分です。
規程類の整備と体制づくり
差分が明らかになったら、不足している規程やルールを整備し、運用する体制をつくります。文書を作成するだけでは評価の場面で機能せず、実際に運用され、記録が残っている状態にする必要があります。支援先に依頼する場合は、ひな形の提供だけで終わるのか、自社の業務実態に合わせた内容まで踏み込んでくれるのかを確認しておきましょう。自社の規模や業務に合わない規程をそのまま導入すると、運用が続かず形骸化します。
申請準備と社内への定着支援
★3を目指す場合は自己評価の実施と専門家による確認、★4を目指す場合は評価機関による検証への対応が必要になります。必要書類の準備や、審査時の説明内容の整理も支援の対象です。加えて、担当者が交代しても運用が続くよう、社内向けの説明や手順の共有まで含めて依頼できるかどうかも確認しておきたい点です。なお、取得ガイドや要求事項の解説書は2026年10月頃の公開が予定されており、申請方法の詳細もその時期に示される見込みです。
| 工程 | 主な支援内容 | 自社だけで進めた場合の難所 |
|---|---|---|
| 現状把握・ギャップ分析 | 要求事項の解釈と差分の洗い出し | 自社業務との対応づけを誤りやすい |
| 規程整備・体制づくり | 実態に合わせた規程の作成と運用設計 | 文書だけ整い運用が伴わない |
| 申請準備・定着支援 | 自己評価の実施支援、審査対応、社内への共有 | 担当者交代で運用が途切れる |
SCS評価制度の支援先を選ぶときの3つのポイント
支援を名乗る事業者は増えていますが、制度の詳細がまだ順次公表されている段階のため、内容を見極めることが重要です。ここでは、依頼先を検討する際に確認しておきたい3点を挙げます。
制度が定める専門家の要件を満たしているか
第一に確認したいのが、支援にあたる担当者が制度上の専門家の要件を満たしているか、あるいは満たす見込みがあるかという点です。前述のとおり、専門家には資格の保有に加えて研修の受講と事務局への登録が求められます。IPAのよくある質問によると、セキュリティ専門家の公開は2027年1月以降、評価機関の公開は2026年12月末頃が予定されています。現時点で「登録済みの専門家が対応します」と断言する説明には、根拠を確認したほうが安全です。
評価と支援を同じ会社に依頼する場合の中立性
支援を受けた事業者に、そのまま評価も依頼できるのかという点も論点になります。IPAのよくある質問では、★4の評価と技術的な支援を同一の法人が実施することは必ずしも否定されるものではないとしつつ、中立性や公平性に関する要件は今後詳細化する予定だと示されています。つまり、現時点では確定していない領域です。支援と評価の両方を提案された場合は、要件が固まった際に対応が変わる可能性があることを前提に、契約内容を確認しておきましょう。
参考:独立行政法人情報処理推進機構「よくある質問」
https://www.ipa.go.jp/security/scs/faq.html
制度を口実にした不適切な勧誘に注意する
2026年4月27日、経済産業省と内閣官房は、SCS評価制度を引き合いに出した不適切な営業活動について注意喚起を発出しました。「評価を取得していないと商取引が規制される」「今すぐ取得しないと入札から除外される」といった勧誘が確認されていますが、いずれも制度の趣旨とは異なる説明です。制度は任意であり、特定のセキュリティ製品の導入が必須とされているわけでもありません。不安をあおる説明から入る事業者は、その時点で候補から外して差し支えありません。
参考:経済産業省「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)に関する注意喚起」
https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/20260427_scs.html
コンサル以外の選択肢|業務委託でプロ人材を活用する
外部の知見を確保する方法は、コンサルティング会社への一括委託だけではありません。必要な役割だけを切り出して、実務経験を持つ個人の専門家に依頼する方法もあります。ここでは、その違いと活用の仕方を整理します。
コンサルティング会社との違い
コンサルティング会社への依頼は、工程全体をパッケージで任せられる点が利点ですが、費用は相応に大きくなり、必要のない工程まで含まれることもあります。一方、業務委託でプロ人材に依頼する場合は、支援してほしい範囲と稼働量を自社で決められます。現状把握だけを依頼する、月に数回のレビューだけを任せるといった使い方も可能です。自社の予算と体制に合わせて関与の度合いを調整できる点が、大きな違いになります。
必要な期間だけ専門知見を確保できる
SCS評価制度への対応は、準備と評価の局面に業務が集中し、その後は維持管理が中心になります。正社員として専門人材を採用すると、繁閑の波にかかわらず固定費が発生し続けます。業務委託であれば、負荷が高い時期に手厚く関与してもらい、落ち着いた後は稼働を減らすという調整ができます。採用活動にかかる時間も不要なため、着手までのスピードを優先したい企業にも向いています。
社内にノウハウを残しながら進められる
外部にすべて任せてしまうと、契約が終わった後に社内で運用を続けられないという問題が起こります。自社の担当者が実務を担い、プロ人材が方針の提示とレビューを担当する分担にすれば、進めながら社内に知識が蓄積されます。有効期間が設けられている制度である以上、一度取得して終わりではなく、更新を見据えた体制づくりが欠かせません。継続的に運用できる形を最初から設計しておくことが、長期的なコストを抑えることにつながります。
| 比較項目 | コンサルティング会社 | 業務委託のプロ人材 |
|---|---|---|
| 依頼範囲 | 工程全体をパッケージで委託 | 必要な工程だけを切り出して依頼 |
| 費用の考え方 | プロジェクト単位でまとまった費用 | 稼働量に応じた変動費 |
| 着手までの速さ | 提案と見積もりの工程を経る | 契約後すぐに稼働を開始しやすい |
| 社内へのノウハウ蓄積 | 委託範囲によっては残りにくい | 分担次第で担当者に知識が残る |
まとめ:専門知見の確保でSCS評価制度に備える
SCS評価制度は、目指す段階にかかわらず、制度上の要件を満たしたセキュリティ専門家の関与が前提となる設計です。専門家には、情報処理安全確保支援士やCISSPなど指定された資格の保有に加えて、研修の受講と事務局への登録が求められます。コンサルや専門家に依頼できる支援は、現状把握とギャップ分析、規程類の整備と体制づくり、申請準備と社内への定着まで幅広く、自社で担える部分と外部の判断が必要な部分を切り分けて考えることが重要です。支援先を選ぶ際は、専門家の要件を満たしているか、評価と支援を兼ねる場合の中立性をどう扱うかを確認しましょう。一方で、工程全体を一括で委託すると、必要のない範囲まで含まれて費用がふくらみやすいのも実情です。キャリーミーでは、セキュリティ領域の実務経験を持つプロ人材と企業とのマッチングを行っています。どの工程をどこまで外部に任せるかを検討する際の材料として、具体的な対応ロードマップをまとめたホワイトペーパーもご用意していますので、あわせてご活用ください。
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